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みなさん さようなら

2008年8月20日
虚構だった特殊潜航艇による真珠湾奇襲大成功の大本営発表

 真珠湾を初めて訪れたのは12年前の平成8年4月19日だった。その時には、もちろん淵田美津雄の自叙伝も陽の目を見ていなかった。

 真珠湾奇襲成功は、筆者の中学3年生の年末に近い頃で、そのニュース映画は何度も見た。平出英夫という海軍報道部長が、真珠湾を海底から襲った特殊潜航艇の殊勲を讃える名調子のラジオ放送も耳に残っている。その後も、空母「赤城」の現物大の甲板を造って、特殊撮影技術を駆使した劇映画「ハワイマレー沖海戦」を興奮しながら観た。さらに「飛鳥Ⅱ」のクルーズで、2度目の真珠湾を7月6日に再度訪れたので、真珠湾奇襲成功のラジオ放送を聴いてからその間、実に66年もの歳月が流れていたことになる。

 淵田の自叙伝は、昭和史研究家保阪正康氏が「史書の書き換えを迫る貴重な書である」と絶賛している。筆者が今も耳に残る特殊潜航艇による真珠湾奇襲の大本営発表と、その後に続いた劇映画にも大きく取り上げられた大成功が、実はまったくの虚構であったことを、淵田は本書で明らかにしている。なぜ大本営がウソの報道をすることになったのか。
 軍神とまで崇められた特殊潜航艇乗組員は真珠湾で、空しく沈められたのだった。

アリゾナ・メモリアルホール 「戦艦ミズーリ」 原子力空母18409

写真: この静かな真珠湾で日米両軍の死闘が展開された
右から「アリゾナ・メモリアルホール」、「戦艦ミズーリ」、原子力空母


2008年8月21日
戦果ゼロで空しく沈んだ特殊潜航艇

 特殊潜航艇による真珠湾奇襲成功の大本営海軍部発表には、当初から不審な点があった。2人乗り5隻で奇襲したはずなのに、なぜ9軍神なのか。10人のはずの後の1人はどうしたのか。戦後になって、その1人は捕獲された潜航艇の中で意識不明になっているところを捕虜になったのだと判明したが、その事実を大本営は覆い隠したままだった。

 母艦から発進した5隻の特殊潜航艇のうち、真珠湾内に進入できたのは1隻だけで、しかも米駆逐艦の魚雷攻撃で沈められた。従って、戦果はまったくなかったのに、大本営は真珠湾に到達したという無線報告を戦果を挙げたものだとの当初の誤認をそのまま引き継いで、一瞬で沈んだ「戦艦アリゾナ」は潜航艇の魚雷によるものである、とした。

 真珠湾は珊瑚礁に囲まれて海底は12メートル程度と浅く、潜航艇の進入は困難で、航空機による魚雷攻撃もその浅さを想定した訓練が繰り返されていた。それにもかかわらず実際にアリゾナが瞬時に沈んだのは、空からの投下した爆弾が甲板を貫通して火薬庫に達して大爆発を起こしたことによるものだった。さらに、アリゾナの攻撃を受ける海側には大きな工作艦がピッタリくっついていて、魚雷攻撃が成功する可能性はまったくなかったのである。
(つづく)

真珠湾アリゾナ記念館18401

                 真珠湾「アリゾナ記念館」開場を待つ入場者の列




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プロフィール

増田周作

Author:増田周作
(株)日新出版 創業者
月刊「特装車」「特装車とトレーラ」「NewTRUCK」編集発行人
「東京トラックショー」創立・主催者

大正15年8月30日生まれ 土佐出身
(H23年すい臓ガン、翌年肝臓ガン発病)
平成24年11月21日 肝不全で死去
       享年87歳

旧制中学1年1学期、上級生とのケンカで先方2名と共に退学処分。
15歳で安岡正篤先生門下に入る。
大阪商科大学(現・大阪市立大学経済学部)卒業。土木従事、新聞社を脱サラ後、広告代理店経営。昭和44年43歳、東京でトラックの月刊誌発行を始める。
湯島聖堂「斯文会」名誉会員・後援会常任委員を務める。
「呉越会」「東京トラックショー」「増田周作のおはようコラム」「日新論語会」など、常に社会の木鐸(ぼくたく)でありたいと願った“いごっそう”であった。
伊与田覚学監は10歳年上の叔父。

【 これがほんとうのあとがき。43年のもの書きの、最後の後書になった。われながらよく書き続けたものだと思う。
「生涯現役」。もの書きとして生涯現役を貫いた喜び、これに勝るものはない。読者の皆様に最後の「わだち」をお送りしてお別れをしたい。今、私は至福の感をもって最後のわだちを書いている。
 みなさん さようなら  11月13日 】
絶筆 H24年/12月号
「わだち=月刊 NewTRUCK 編集後記」

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