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みなさん さようなら

2018.09.24 05:14|外部 寄稿者
1994年(H6) 月刊 「NewTRUCK」 9月号
世相巷談

不思議の国の北朝鮮

大谷 健
(元朝日新聞編集委員)

 日本のマスコミは、新聞、テレビともに必ず、書き出しは「朝鮮民主主義人民共和国」(北朝鮮)と表現する。ところが朝鮮半島のもう一つの国、大韓民国は韓国と呼び捨てにしている。同じく二つに分断されたドイツもドイツ連邦共和国(西)、ドイツ民主共和国(東)はそれぞれ西独、東独と呼ばれていた(今は連邦共和国1本となった)。世界の超大国アメリカも、アメリカ合衆国とはいわない。それなのに日本のマスコミはなぜ北朝鮮のみ正式国名にこだわるのか。

 実は日本のマスコミが北朝鮮を特別扱いするようになったのは、日本と北朝鮮の国交回復が話題になり始めた以後である。それまでは北朝鮮、北鮮と呼び捨てにしていた。なぜそれが変わったのか。私の推測では、北朝鮮の首都平壌にいち早く支局を設置したい、そのためには相手に失礼があってはならない。国名も正式名を必ず示す。1社がそうすれば他社は負けずにこれに従う、ということになったのである。

 一国を観察するには、その国に自社の特派員を派遣するのがいい。このことは否定できない。だが報道の自由を尊重しない国では、たとえ特派員がいても十分な取材ができない。それどころか支局と特派員をあくまで維持しようとして、かえって報道が間違った例がある。

 中国で四人組や紅衛兵があばれまくった時期、彼等に好意的な記事を書かないということで各社の特派員が追放され、支局は閉鎖された。日経の特派員はスパイ容疑で逮捕され、長い獄中生活を送らねばならなかった。ただ一社、朝日だけは支局と特派員を温存した。
 なぜなのか。好意的に解釈すれば、当時の朝日新聞首脳は「歴史の生き証人として朝日一社だけでも北京に踏みとどまる。書けなければ無理に書かなくともよい」という気持ちだった。だがこの特派員は歴史家にとどまるには野心がありすぎた。日本人記者ただ一人という立場を利用して書きまくったが、それは四人組に都合の良い記事だけ。おまけに林彪が失脚した外電を否定した記事を書き続けた。朝日新聞は北京支局を維持しようとしたため、かえって大事な時期に間違った中国報道を流し、恥をかくことになってしまった。

 これから北朝鮮がどうなっていくかはわからない。しかし現在のような情報管制が続く北朝鮮で支局を置いてみても、どうにもならないだろう。日本のマスコミも北朝鮮の指導者にゴマをすったりせず、韓国並みに北朝鮮と呼ぶべきではないか。
 それに北朝鮮にとっても国名完全表記はプラスだろうか。日本人は「民主主義人民共和国」といわれて、民主主義の人民共和国の最高指導者が建国以来、その地位を保ち続けたうえ、その地位を息子に世襲さすことと、どんなつながりがあるかと疑うだろう。

 もっと不思議なことは、実体は封建的な「金王制」なのに、天皇制を批判する日本の左翼勢力が支持していることだ。恐らく人民共和国=社会主義国だからなのだろう。だが国民一人当たりのGNPが韓国の八分の一という状態は、社会主義経済の駄目さ加減をくっきり浮かび上がらせたという点で、まさしく社会主義の恥部といってよいのではないか。
 日本社会党がこれまで韓国より北朝鮮を愛してきたのは一体何だったのか。今、日本の首相はその社会党委員長である。


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プロフィール

増田周作

Author:増田周作
(株)日新出版 創業者
月刊「特装車」「特装車とトレーラ」「NewTRUCK」編集発行人
「東京トラックショー」創立・主催者

大正15年8月30日生まれ 土佐出身
(H23年すい臓ガン、翌年肝臓ガン発病)
平成24年11月21日 肝不全で死去
       享年87歳

旧制中学1年1学期、上級生とのケンカで先方2名と共に退学処分。
15歳で安岡正篤先生門下に入る。
大阪商科大学(現・大阪市立大学経済学部)卒業。土木従事、新聞社を脱サラ後、広告代理店経営。昭和44年43歳、東京でトラックの月刊誌発行を始める。
湯島聖堂「斯文会」名誉会員・後援会常任委員を務める。
「呉越会」「東京トラックショー」「増田周作のおはようコラム」「日新論語会」など、常に社会の木鐸(ぼくたく)でありたいと願った“いごっそう”であった。
伊与田覚学監は10歳年上の叔父。

【 これがほんとうのあとがき。43年のもの書きの、最後の後書になった。われながらよく書き続けたものだと思う。
「生涯現役」。もの書きとして生涯現役を貫いた喜び、これに勝るものはない。読者の皆様に最後の「わだち」をお送りしてお別れをしたい。今、私は至福の感をもって最後のわだちを書いている。
 みなさん さようなら  11月13日 】
絶筆 H24年/12月号
「わだち=月刊 NewTRUCK 編集後記」

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