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みなさん さようなら

2018.10.25 04:47|外部 寄稿者
1991年(H3)月刊「NewTRUCK」9月号
世相巷談

毛沢東思想はもういい
大谷 健 (元朝日新聞編集委員)

 南米ペルーで国際協力事業団(JICA)の日本人農業技術者3氏がテロで殺害されたのに続いて、日系人が殺される事件が相次いでいる。犯人は左翼武装ゲリラ「センデロ・リミノソ(輝く道)」らしい。この集団は毛沢東思想を信じ、反近代を主張しているという。毛思想は、とくに晩年になって紅衛兵を使って文化大革命を行ったが、その文化とは反近代だった。
 カンボジアのポル・ポト派共産主義者も知識人をはじめ、国民を大量に虐殺したが、思想の根源は毛思想にあると思われる。

 日本だって、毛思想に随分迷惑を受けている。成田空港は経済大国となった日本にはもはや小さ過ぎるのだが、成田空港建設反対闘争は日本の反体制運動のシンボルとなり、今もシコシコ続けている。なぜなのか。かつて毛沢東は訪中した運動家を引見して「成田闘争こそ日本人民の革命的精神の表れ」とほめたたえた。日本の玄関、成田空港の整備を遅らせている責任の一半は毛思想が負わなくてはならない。

 中国共産党の保守派は思想引き締めのため「毛沢東思想」の復権を称え、著書を再刊し、学習を呼びかけている。これは時代錯誤ではないか。中国は国外からの批判を「内政干渉」だといやがるが、毛沢東が成田空港反対闘争を激励したのは日本への内政干渉ではなかったのか。しかし、毛思想の被害を一番大きく受けているのは中国の国民自身である。

 たしかに毛沢東の指導による中国革命は、中国を半植民地国家から、本物の独立国家に仕立て、飢えに苦しんでいた国民に最低生活を確保した。この意味で毛は偉大な革命家であった。その時点で江青女史と一緒に引退しておれば、今も中国建国の父として尊敬されていただろう。
 しかし農業近代化の代わりに半近代的なコンミューン的人民公社を打ち出し、これは思わしい成果をあげず、毛の死後廃止された。

 一番の失敗は人口問題である。毛沢東は「人の多いのは良いことである」と主張して、1958年には「6億の人口は決定的な要素である。人が多ければ議論は多く、熱気は高く、意気込みも大きい」と語った。そして人口抑制の必要を説く馬寅初・北京大学長を反マルクス主義者として弾圧した。

 中国人は毛沢東に激励されてどしどし子供をつくったものだから、人口は忽ち10億人を超えたが、いくら経済が成長しても、いくら食糧を増産しても、ふえる人口に追いつけない。毛沢東が死んですぐ、中国政府は「一人っ子政策」に転じた。政府が国民に子供を一人しか作るなと命令するのも変な話だが、これも計画出産政策を弾圧した毛沢東の短見による、

 さらに「百花斉放」を称え、知識人に何でも自由にしゃべれと持ちかけた。知識人は喜んで、大いに書き、大いに語ったが、その中には毛の気に入らない議論があった。毛は、このしゃべり過ぎた人達を弾圧した。これもひどい話ではないか。不満分子をあぶり出すための卑怯なトリックといわれても仕方が無い。

 ともかく「毛沢東思想」は日本にとっても、外国にとっても迷惑ばかりかけている。中国も今更、毛思想の復活でもあるまい。
 毛沢東は20世紀の偉大な政治家として、祀り上げてしまうのが、一番無難ではないか。




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プロフィール

増田周作

Author:増田周作
(株)日新出版 創業者
月刊「特装車」「特装車とトレーラ」「NewTRUCK」編集発行人
「東京トラックショー」創立・主催者

大正15年8月30日生まれ 土佐出身
(H23年すい臓ガン、翌年肝臓ガン発病)
平成24年11月21日 肝不全で死去
       享年87歳

旧制中学1年1学期、上級生とのケンカで先方2名と共に退学処分。
15歳で安岡正篤先生門下に入る。
大阪商科大学(現・大阪市立大学経済学部)卒業。土木従事、新聞社を脱サラ後、広告代理店経営。昭和44年43歳、東京でトラックの月刊誌発行を始める。
湯島聖堂「斯文会」名誉会員・後援会常任委員を務める。
「呉越会」「東京トラックショー」「増田周作のおはようコラム」「日新論語会」など、常に社会の木鐸(ぼくたく)でありたいと願った“いごっそう”であった。
伊与田覚学監は10歳年上の叔父。

【 これがほんとうのあとがき。43年のもの書きの、最後の後書になった。われながらよく書き続けたものだと思う。
「生涯現役」。もの書きとして生涯現役を貫いた喜び、これに勝るものはない。読者の皆様に最後の「わだち」をお送りしてお別れをしたい。今、私は至福の感をもって最後のわだちを書いている。
 みなさん さようなら  11月13日 】
絶筆 H24年/12月号
「わだち=月刊 NewTRUCK 編集後記」

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